佐藤さんちのふしぎ

童話作家・佐藤さとる と作品たち

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ミサオ姉ちゃん(『ジュンと秘密の友だち』ネタバレあります)

機械屋と電気屋 この作品はふしぎな構成になっています。「紹介」では触れなかったのですが、主人公のジュンはなかなか物語に登場しません。 作品は「ミサオ、という名の女の子がいました」と始まります。ジュンのお姉さんです。その高校二年生の「どこから…

ゴシップあれこれ(『ジュンと秘密の友だち』)

『ジュンと秘密の友だち』というこの作品は、昭和という時代を生きた一人の男性としての佐藤さとるさんの、心のあり方を理解する上で、鍵になる作品かもしれません。 でもまずはゴシップから。 講談社と岩波書店 この作品は、ほんらい『豆つぶほどの小さない…

『ジュンと秘密の友だち』紹介

小学校三年生のジュンの家は、駅からかなりな坂道を上がる丘のなかほどにあります。家には丘の下をのぞき込むような庭があって、そこからもう一段下ったところにも小庭――小さな平地があります。 ある日ジュンは、この小庭に洞穴を掘ろうと思い立ちます。昔こ…

『わんばく天国』の背景社会(ネタバレあります)

もし馨くんが作者と同じ昭和3年の早生まれだとすると、彼は作中で小学三年生ですから、物語の年代は1936年、昭和11年ということになります。翌昭和12年に日中戦争(当時の国内での呼称は日支事変)が始まります。まさに戦争直前の時代。 この年は政…

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『わんぱく天国ーー安針塚の子どもたちーー』紹介 - 佐藤さんちのふしぎ 『わんばく天国』の背景社会(ネタバレあります) - 佐藤さんちのふしぎ 『ジュンと秘密の友だち』紹介 - 佐藤さんちのふしぎ ゴシップあれこれ(『ジュンと秘密の友だち』) - 佐藤さんち…

『わんぱく天国ーー安針塚の子どもたちーー』紹介

ある四月の日曜日に、国道のバス停「渚橋」に小さなバスが停まり、水兵服を着た男の子が降りてきた。水兵帽には「大日本海洋少年団」の金文字。作者佐藤さとるさんご自身の少年時代を思わせる、その名も加藤馨くんです。 この作品は、時代と場所を昭和十年代…

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こびとたちの小ささ

「こびと」とひとくくりに言っても、その大きさ小ささは様々ですね。 アイヌのこびと伝説では、資料によって一寸法師のようなという表現もありますが、3尺(90センチ)、4尺(120センチ)くらい、という表現もあります。*1 佐藤さんが御父上から引き…

村上勉『コロボックルの小さな画集』紹介

佐藤さんと言えば、とくにコロボックルと言えば、絵は村上勉さん。もう切っても切れない結びつきです。 でも、最初からではなかったんですね。 タイプ印刷の私家版が出てすぐに講談社から刊行された『だれも知らない小さな国』には、若菜珪さんという画家が…

『ブドウ屋敷文書の謎』紹介

「コロボックル物語・番外編」と副題のついたこの小さな本は、2013年に刊行された『復刻私家版 だれも知らない小さな国』の付録として発行されました。佐藤さん85歳のとし、コロボックル物語最後の作品です。佐藤さんの著作権を管理する株式会社あかつ…