佐藤さんちのふしぎ

童話作家・佐藤さとる と作品たち

『ふしぎな目をした男の子』紹介

オキテとツムジイ、そしてタケル

 サクランボ事件によって、コロボックルの掟が変わりました。だれでもひとりだけなら人間のトモダチを作って良い、ということになったのです。このとき、小山の裏のやぶのどびんの家で、古いむかしのことを調べている学者のじいさま、つむじ曲がりのウメノヒコ=ツムジは怒りました。あんまり怒ったので、コロボックルの小山をとびだして、人間たちの町に引っ越してしまいました。あだ名の由来、つむじ曲がりの面目躍如です。
 引っ越した先でツムジのじい様の出会ったのが、ふしぎな目をした男の子、タケルでした。タケルは、コロボックルがどんなに素早く動いても、その姿を見ることのできる目をもっているのです。そしてだれもが驚いたことに、じい様はそのタケルとトモダチになってしまいました。

 ツムジのじい様、ツムジイが年を取ってタケルに会えなくなり、そのあとをヒノキノヒコ=トギヤの息子、タケルと同い年で顔もそっくりのヒノキノヒコ=ツムジが継ぐことになりました。ツムジとタケルの接触は数年後、タケルが小学校三年生になってからです。物語は、ツムジイとタケルとツムジの交流と、幼児から少年になるタケルの成長を描いていきます。時代が流れて変貌していく町並みを見ながら育って、3年生の2学期にタケルのした決断とは何だったでしょう?

 そしてもうひとつの決断も。
 歴史の影に秘められたコロボックルと人間の共同作業の物語がツムジイによって掘り起こされ、世話役ヒイラギノヒコはその証しをいつまでも残そうと願います。コロボックルふたりは何を決断したのでしょうか。

 

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