佐藤さんちのふしぎ

童話作家・佐藤さとる と作品たち

ごあいさつ

 佐藤さとるさんをご存じですよね。日本で最初の長編ファンタジー作品、『だれも知らない小さな国』を書いた児童文学作家です。
 ぼくは十歳くらいのころこの本を読んで大好きになり、くりかえし読みふけって、もう大人になってからも何度も読み返しては愉しんできました。自分の現実の子ども時代のことより、この本のなかのできごとの方がぼくの心のなかではリアルなんじゃないかと思うほどです。
 この物語はその後第5巻まで書き継がれ、短編集も何冊か出版されました。そのすべてがつながって大きな「コロボックル物語」の世界を形作っています。最初の出版から半世紀以上を経てなお、単行本も文庫本も版を重ねつづけるロングセラー作品です。そう、「コロボックルを置いてない図書館なんてないんだから」*1
 佐藤さとるさんには、そのほかにも愉しいファンタジー作品がたくさんあります。ファンタジー要素のないリアルな作品にも、忘れられない名作があります。
 このサイトでは、それらの作品を紹介しながら、その本ならもう読んだよという方にも楽しんでいただけるような記事を書きたいと思っています。題して「佐藤さんちのふしぎ」。佐藤さんの作品には、ふつうの家庭で暮らす男の子が不思議なできごとを経験するお話が多いですからね。

 そうそう、もうひとつ。
 作品紹介のほかに、佐藤さんの故郷、神奈川県横須賀市についてもすこしご紹介しようと思っています。
 ご存じかもしれませんが、佐藤さんは横須賀で生まれ育って、そのあともずっと横須賀の近くにお住まいでした。作品の舞台も、地名が言及されることはあまりありませんが、ここは横須賀だ、とみなしてしまって不自然ではないことが多いようです。佐藤さんじしん、自分が子どものころに遊んでいた横須賀市西逸見町とその奥の塚山公園近辺について、「私の物語の背景は、ここを選ぶことが多い」と書いていますし。*2
 作品は普遍的なものですが、その創作の土台になった町や山のことも、知っておくと愉しいものです。
 佐藤さんの作品として自伝やお父さんの伝記も紹介するつもりですので、その時に詳しくお話しできるかもしれませんね。

                                (海山町人)

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