『小さな人のむかしの話』
これは別巻です。物語の続きではなくて、番外編です。歴史学者のツムジイが語ったたくさんの昔話を、弟子のクヌギノヒコ=ノッポかだれかが書きとって、それをママ先生が清書したなかから、筆者(佐藤さん)が選び出して読みやすいように書き直してくれた、コロボックルの昔話集です。
ツムジイの解説をはさみながら、全九話。分類するとすれば神話、歴史、物語、伝記といろいろになる短編が収められていて、人間たち同様ながい時代を生き延びてきたコロボックルの世界が見わたせるようです。
「コロボックル物語余話 読者への長い手紙」
けれど見逃せないのは、「あとがきにかえて」として巻末に付された「コロボックル物語余話」。
もう続編を書かないと決めたその理由を佐藤さんご自身が丁寧に説明してくれていますし、そのあとに、登場人物たち、コロボックルも人間も含めた登場人物たちのその後を教えてくれています。たとえばクルミノヒメ=オチビの恋の行方とか、タケルやエク坊のその後とか、またサクラノヒコ=サクランボやクルミノヒコ=ミツバチ(ボウヤ)の関わっているコロボックル社会の技術開発とか。必見ですよ。
ただ、ここで佐藤さんは「コロボックル通信社の初代の社長はママ先生でした」と書いています。第2巻『豆つぶほどの小さないぬ』では、初代社長はせいたかさんで、そのときママ先生の肩書きは給仕だったはずなんですが。